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見たまま、感じたまま、思ったまま

TATTOO(刺青)あり


「TATOOあり」監督:高橋伴明 主演:宇崎竜童 関根恵子 1982年作品

ピンク映画監督の高橋伴明が初めて手がけた一般映画で、後に高橋夫人となる関根恵子がヒロインを演じ、当時ミュージシャンから俳優としてもその個性を出していた宇崎竜童が主演。母親役に渡辺美佐子、他には今気づいたけど北野武組の名脇役、大杉蓮も出演している。

これは1979年に大阪で実際に起こった、銀行人質立てこもり事件を題材にしている。犯人は猟銃を手に一両日銀行に立てこもり、人質達に極悪非道を尽くした後に警官隊に射殺されている。

映画ではこの事件自体は最後の最後に一瞬出て来るに過ぎず、映画の大半はその事件が起こるまでの、「30歳になるまでに何かどえらい事をやったる」という主人公のぎらぎらした破滅へと向かう生き様を描いた映画である。

青年期の何かムクムクと心の中で頭をもたげてくる熱い塊のような物、今は自分がもう無くしてしまった物を感じる映画である。その意味でこの前紹介した「祭りの準備」と似てるな。

最後の最後、射殺された主人公が司法解剖されている大学の解剖室。その廊下の行き当たりに母親の渡辺美佐子がポツンと座っている。廊下の窓から明かりが斜めに差し込んで、行き当たりを斜めに横切って、その下半分の暗い所に母親がしゃがみ込んでいる。なんでも無いようなカットだけど、印象に残っているカットだ。そして宇崎竜童の唄う、タイトル曲、ラストのエンディングテーマも渋いのだ。

この映画の後、関根恵子は監督と結婚して高橋恵子になったのである。う~ん、惜しいことをした(笑)。

ちなみに、この年のキネマ旬報ベストテン第6位、映画芸術ベストテン第7位、ブルーリボン賞入賞である。

しかし、このDVDジャケットはなんか間抜けだ。
もっと迫力あるカットにすれば良かったのに・・。


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